トレーナー関連資格のお話

トレーナー資格の特徴を知る。


トレーナーのライセンス



  神戸東灘区にあるパーソナルトレーニングジムのFujitaniです。今回のコラムは「トレーナー関連資格」がテーマ。


  私はいくつかの資格・免許を持っておりまして、それらを名刺やホームページに記載している関係でそれぞれの特徴や違いについてよく質問を受けます。

  確かにトレーナー業界はライセンスが多く、各々で個性を打ち出していたり、国家資格(免許)においては業務範囲を規定しているなど、全ての肩書きとその内容を把握するのは極めて困難です。


トレーニング風景



  そこで、トレーニング業界以外の方にも「トレーナー」と呼ばれる仕事を、資格の観点から理解していただけるよう、私自身が保持した経験があって、なおかつ一定以上の知名度がある9つのライセンスに関しまして、特徴や関係性についてまとめていきます。


  これから説明するライセンスを3つのカテゴリーに分類するとこんな感じです。




➀ 国家資格(免許)


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  • はり師
  • きゅう師
  • あん摩マッサージ指圧師
  • 柔道整復師


  •   これらの治療系免許を持つ専門職は日本の医療業界で「コ・メディカルスタッフ」と呼ばれ、医師と看護師以外の医療従事者を指しています。

      法的にそれぞれの免許ごとで、後ほど説明する「危険行為の解除」を認められているのが特徴です。



    ② 国内の団体や協会が認定している資格



      これらのトレーナー資格は、国からの金銭的な支援を受けて活動資金の一部にしている公益財団法人が発行しているもので、先ほどの免許のように「危険行為の解除」は存在しません。したがって、極端な言い方をすれば法的には一般の方と同じ立場あり、肩書としての意味合いが大きいです。

      ただし、ある程度の国家予算が投入されている厳格な資格制度のため、それぞれのトレーナー資格に準じた知識とスキルを持ち合わせています。



    ③ 海外の組織が認定している資格



      私が保持できている海外の資格は「全米ストレングス&コンディショニング協会」が認定しているものです。この組織は本部がアメリカにあり、世界の52か国に支部を持っていて、日本でも特定非営利団体「NSCAジャパン」を設立しています。

      もちろんですが、我が国での立場は ②(☜ジャンプします)と同じで肩書としての意味合いを持ちます




    各免許・資格の位置づけ


    トレーナーとしての位置づけ


      上の図は、私が過去に保有していたものを含めて9つのライセンスの位置づけを表したものです。

      トレーナー業界の方なら円の位置や範囲、そして「医療・スポーツ・健康・生活の質」という分類の仕方に疑問を持つかもしれません。これらはあくまで、私個人が取得して感じている関係性ですので、予めご了承ください。



      まず、図の中の「医療」とは、法律によってのみ認められている医療類似行為(免許が必要)や、特定の免許を持つ人の指示で行う業務を指します

      例えば、脱臼の整復は法的に医師、または柔道整復師しか行うことが許されていません。それらの免許を持たない人ができるのは、安静を保つための「固定」と、医療機関へ連れていく「搬送」だけです。もちろん、脱臼に伴う出血を包帯やガーゼで止血するのは問題ありません。


      次に「スポーツ」とは、競技(チャンピオンシップ)スポーツを指します。したがって、余暇に行なわれる遊びとしてのスポーツは含んでいません。

      競技スポーツは「最後に勝ち残った1人(1チーム)だけが勝者で、それ以外は全員負け」が基本なので結構シビア。遊びの要素は皆無に近いです。


      「健康」とは、健康寿命を少しでも伸ばそうとする試みを指します

      勝利のためならケガや病気をいとわない「スポーツ」の対極にあるのはこのためです。また、カラダ作りやダイエットは含まれません。


      最後に「生活の質」とは、カラダ作り(ボディメイクなど)やダイエットを指します

      「医療」の対極にあるのは、容姿向上のために行う筋トレ・減量が日常生活を豊かにするためのものだからです。ジム通いを熱心にしても健康保険が使えないのはこの考え方に由来します。


    ボディメイク



      では、さらに細かく各免許・資格についてご紹介しましょう。




    はり師・きゅう師


    刺鍼


      この免許は、東洋医学や西洋医学の考えをもとに、鍼(はり)と灸(きゅう)を用いて体の不調を治す専門職です。

      「危険行為の解除」としては、はり師人体への刺鍼(はりを刺すこと)きゅう師人体の皮膚表面での可燃物の燃焼でしょうか。


      この2つの資格はほとんどが共通の科目であるため、規定の正答率をあげれば一度の国家試験で同時に取得できます。「鍼灸師」という名前が一般的なのはこのためです。勤務先は治療院や鍼灸院を中心に、整形外科などです。



      取得するには3年以上、専門学校や大学などの文部科学省認定の養成校に通います。そして無事に卒業できれば受験資格を与えられ、年に一回、2月末に行われる国家試験で合格すれば免許証が送られてきます。(合格率70%程度)


    免許証
    ☝ これはあん摩マッサージ指圧師の免許証だが、はり師・きゅう師・柔道整復師もほぼ同じ。


      取得方法については、後述するあん摩マッサージ指圧師(試験日:鍼灸師の前日)柔道整復師(試験日:3月初め)も基本的に同じです。




    あん摩マッサージ指圧師


    ストレッチ


      聞きなれない名前ですが、マッサージやあん摩、指圧を用いて体の不調を治す専門職です。

      「危険行為の解除」は人体へのあん摩・マッサージ・指圧です。


      当たり前のように整骨院やリラクゼーション施設でもマッサージを受けられます。しかし、「これからマッサージをします!」と銘打ってお金を貰うにはこの免許が必要です。ですが、名目を「もみほぐし60分コース」などマッサージを感じさせる、それらしいものに変えれば問題なし。要するに法の抜け道ですね。


      この免許は近年、様々な大人の事情も相まって鍼灸師と同時に取得する形がほとんどです。しかし、そういったカリキュラムがある養成校は全国でも限られているので、この免許を持った鍼灸師は少数派です。(合格率80%程度)




    柔道整復師


    関節


      骨折や脱臼、筋肉、関節のケガを治す専門職です。

      「危険行為の解除」としては骨折・脱臼の整復(正しい位置に戻すこと)が適切でしょう。整骨院(接骨院)や整形外科で勤務するケースが多いです。



      「柔道整復師あるある」として、自己紹介をした時に「整体師さんですか?」と質問されると言うのがあります。

      そして、毎回「違います」という趣旨の説明を当たり障りなくするわけですが・・・


      非常に簡単に言うと整体師さんは、先ほど➀・②(☜ジャンプします)でお話しした法的に言うところの一般の方です。場合によっては民間が発行する資格を持っているケースもありますし、資格を持たないケースもあります


      なお、柔道整復師と整体師さんの筋肉と関節のケガに対する技術の差は、免許の「あり・なし」とは全く別の話になります。正直なところ、どちらが優秀かは一概に言えません。(柔道整復師の合格率60~70%)




    健康運動実践指導者


      公益財団法人「健康・体力づくり事業財団」が認定する資格です。

      現代における日本国民の不健康改善を行う目的で始まった厚生労働大臣の認定事業が、10年ちょっと前の民営化が流行った際、この団体が発足されて事業を引き継ぎました。後述する健康運動指導士の資格も発行しています。


      健康運動実践指導者の専門性は、現場に自ら立って見本を示したり、クライアント(特に集団)に運動を指導するところにあります。



      受験資格の取得には規定の講習会で33単位を取得するか、もしくは認可された養成校(専門学校・大学)に通って所定の単位を取得する必要があります。


      そして、集団に対して模擬セッションを行う実技試験(エアロビクス、アクアビクス、ジョギング&ウォーキングから1つ)と、マークシート形式の筆記試験の両方に合格するとこんな認定書が送られてきます。(合格率70~80%)


    健康運動実践指導者



      実は、今回ご紹介するトレーナー資格の中で、現在これのみ保持しておりません。理由はさておき、トレーナーとしてのキャリアを積む中で資格を手放すことが結構あるのです。


      国家資格(免許)と違い肩書としてのトレーナー資格は、更新制度を採用しているものがほとんどで、所定の期間(この資格は5年)で講習会等へ参加をして単位を取得する必要や、更新時に金銭的な負担が必要になります。

      なので、自分の様々なものを天秤にかけると「更新せずに資格を手放す」選択肢もあり得るわけです。


      滅多にないケースですが、手放した資格を再度取得する場合はもう一度、実技試験・筆記試験の両方合格しなければなりません。




    健康運動指導士


    運動指導風景


      これも健康・体力づくり事業財団が認定する資格です。


      健康運動指導士は、健康に支障をきたしそうな方(メタボなど)を対象に個別指導や運動支援を行います。要するに、高血圧症や糖尿病、狭心症等の病気になる一歩手前で「激しい運動が危険である人(ハイリスク群)」へ最適な運動を処方する専門家ですね。


      先ほどの健康運動実践指導者は、運動による危険が少ない人(ローリスク群)へアプローチするトレーナー資格と思えば住み分けしやすいです。また、ローリスク群は耐用性があるので、個々に運動プログラムを組まなくても危険性は少ないですから「集団」でできるわけです。

      したがって、健康を目的としたパーソナルトレーナーにとってこの資格は魅力的かと思います。



      受験資格は、規定の免許・資格を持つ方、または体育系大学卒業の方であれば講習会(最大で104単位)に参加できるので、それを修了するか、もしくは認可された養成校(大学)に通って所定の単位を取得する必要があります。


      そして、マークシート形式の筆記試験に合格すると認定書が送られてきます。(合格率50%程度)


    健康運動指導士
    ☝ 資格更新には、5年間に所定の講習会へ参加して単位を取得する必要がある。




    日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)


      公益財団法人「日本スポーツ協会(JSPO)」の発行する資格です。

      日本体育協会(JASA)が平成30年4月に名前を変更し、この名称になりました。私がパーソナルセッションにあくせくしている間に名前が変わっていて、正直、気付いたのは同協会から直接メールが届いた6月頃でした・・・


      このトレーナー資格の専門性は、運動パフォーマンス向上とスポーツ傷害の予防。そして対象者が「スポーツ愛好家~競技スポーツ選手」と、かなり幅広いです。


    アイシング



      したがって、ライセンスの関係性を示す図(☜ジャンプします)の中で最も大きな範囲をカバーします。オールマイティが一つの持ち味と言っても良いはずです。

      とても広範な専門性があるので教本は基礎科目を入れると10冊以上、計3千ページほどと大容量。しかも、それをほぼ暗記してしっかり理解しておかないと1次の筆記試験はパスできません。

      その代わりと言ってはなんですが、サッカー日本代表のトレーナー(チームスタッフ)はこの有資格者でないと務められないなど、競技団体のトップカテゴリー(代表クラス)では必須のライセンスとなりつつあります



      受験資格は、各都道府県の体育協会か競技団体の推薦を受けて養成講習会に参加し、それを修了するか、もしくは認可された養成校(専門学校・大学)に通って所定の単位を取得する必要があります。


      そして、1次試験でマークシート形式の筆記試験に合格し、さらに2次試験のアスレティックトレーナーの技能に関する実技試験をクリアすると晴れて資格が発行されます。(合格率10%程度)


    JSPO-AT
    ☝ 資格更新には、4年間に所定の研修会へ参加する必要がある。




    NSCA認定パーソナルトレーナー(NSCA-CPT)


      ③(☜ジャンプします)で少し紹介した全米ストレングス&コンディショニング協会(NSCA)が認定する資格です。


      この組織は、科学的根拠に基づいたトレーニングの普及を目指し、最新の医科学スポーツ研究分野とトレーニング現場を橋渡しする使命を掲げています。



      ちなみに「ストレングス」とは筋力と、それを司る神経回路を指します。

      筋力と言えば重いものを持ち上げる力を想像するかもしれませんが、マラソンで必要な筋持久力や、短距離走でのスピード、審美系競技(体操・フィギュアスケートなど)のバランス能力も含まれます。


      そして「コンディショニング」とは、体の能力を100%発揮できるように調整することを指します。

      具体的には、疲れた筋肉の柔軟性を取り戻すストレッチであったり、血液循環を促進する温浴、時にはバランスのよい食事摂取の場合もあります。


    パーソナルトレーニング



      そんなNSCA認定パーソナルトレーナーの特徴は呼称通り、パーソナルトレーニング全般に関する業務遂行の基礎知識でしょう。


      学習用の教本(日本語)は、どの分野についてもあまり深く掘り下げていないものの、危険な病気の代表である心疾患・脳血管疾患のリスクについて記載している点は、訴訟問題に敏感なアメリカ発祥の資格ならではだと思います。



      これは個人的な意見ですけれども、資格の名称に「パーソナルトレーナー」が入っているのはいいですね。初対面の方にも、専門領域を知ってもらい易いですから。


      最初の図(☜ジャンプします)を見ると、NSCA認定パーソナルトレーナーと健康運動指導士の重なりが他よりも大きいのがわかります。この2つの資格は、学習内容で被っている点が多く、専門分野としての方向性が似ています。

      ただ、健康運動指導士「健康」にクローズアップして学びを深めるのに対し、NSCA認定パーソナルトレーナーは「健康」に加えて、筋トレ(特にジムトレーニング)などの「生活の質」についての知識も写真を多用しながら解説してくれています


    筋トレ



      受験資格(厳密には認定要綱)は、ここまで紹介したもので最も緩く、18歳以上で、なおかつ有効期限内のCPR(心肺蘇生法)/AEDの認定証明書を持っていればOK。アカデミックな資格ではないので、半日だけ救急法の講習会を受けて、あとは教科書を勉強さえすれば大丈夫です。


      そして、日本語で出題される三者択一試験に合格すると認定書を送ってもらえます。(合格率70%程度)


    NSCA-CPT
    ☝ 資格更新には4年間に所定の研修会や自宅学習などで単位を取得する必要がある。




    NSCA認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト(CSCS)


      これも、全米ストレングス&コンディショニング協会(NSCA)が発行する資格です。


      専門性としては、JSPO認定アスレティックトレーナーと同じで、運動パフォーマンス向上とスポーツ傷害の予防ですが、対象者は競技スポーツ選手と限定的です。

      また、JSPO認定アスレティックトレーナー教本の半分近く(千ページ以上)がスポーツ傷害について記されているのに対し、CSCSの教本(日本語)はわずか20ページほどと限られています。

      したがって、スポーツ選手のケガに関する知識の差は恐ろしいほどあるのが現状です。


      その分、CSCSは「ストレングス」の分野について写真付きの丁寧な解説がある点や、シーズン内のピリオダイゼーション(期分け)理論をもとにトレーニング負荷量の指標を示している点はとても魅力的なので、各資格ごとにそれぞれ個性があります。


    ストレングスの強化



      受験資格(認定要綱)は、大卒以上(学部不問)か4年制の専門学校の卒業者で、なおかつ有効期限内のCPR(心肺蘇生法)/AEDの認定証明書が必要です。同協認定パーソナルトレーナーと異なり、学位に関する要綱があるのは米国の本部における大人の事情らしいですが、NSCA-CPTと比べて少し閉ざされたライセンスという印象です。


      そして、これも日本語で出題される三者択一試験に合格すると、めでたく資格取得です。(合格率50%程度)


    CSCS
    ☝ 資格更新には4年間に所定の研修会や自宅学習などで単位を取得する必要がある。




      いかがでしたか?

      正直、受験資格、試験の方法については、過去の記憶を頼りに書いておりますので間違っていたり、現在は変更されているものもあるかもしれません。詳しく各免許・資格について情報を得たい方ライセンス取得を目指している方は、さらにお調べになる必要があると思います


      末筆にはなりますが、こと「トレーニング業界」において免許や資格はただの肩書きに過ぎず(医療系の現場は別)、トレーナーの能力に必ずしも比例しません。やっぱり大事なのは情熱です!


      長編にもかかわらず、最後までお読みいただきましてありがとうございました。






    Akio Fujitani
    パーソナルトレーナー


    Akio Fujitani


    ≪ 保有資格・免許 ≫

    • 日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)
    • NSCA認定パーソナルトレーナー(NSCA-CPT)
    • ストレングス&コンディショニングスペシャリスト(NSCA-CSCS)
    • 健康運動指導士 /元 健康運動実践指導者(~2016)
    • 鍼灸師※ /あん摩マッサージ指圧師※ /柔道整復師※

    ※ 国家資格



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